京都観世会8月例会
Monthly Performances (August)

公演日時:2019/08/25(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 兼平        片山伸吾
(狂言)蝸牛        小笠原匡
(能) 定家        梅若実
(能) 善界        大江広祐
入場料:
一般前売 ¥6,000
一般当日 ¥6,500
学  生 ¥3,000

演目解説

兼平 かねひら
 木曽の僧が義仲の弔いの為、彼が討たれた粟津が原に赴く。粟津の対岸、矢橋に着いた僧は、柴を積み運ぶ舟に便船を乞う。舟人は僧を乗せ、比叡山、日吉社、大宮波止土濃など、名所を教えながら舟を進め、粟津に着くと見るや、姿を消してしまう。〈中入〉
 僧は行き会った本当の渡守から兼平の物語を聞き、弔いをなすと、兼平の幽霊が現れ、木曽の最期を語り、また自分が自害し果てた様を再現する。
 前場は矢橋から粟津への舟中で、琵琶湖の風景が手に取るように語られるのであるが、さて兼平の幽霊は何故僧を舟で渡したのか。答えは後場で明らかにされる。「同じくはこの舟を御法の舟に引きかへて、我をまた彼の岸にわたして賜ばせたまへや。」舟は彼岸へ渡る。即ち魂の救済の大切な便りなのである。
 兼平は義仲の忠臣であると同時に、乳兄弟でもある。義仲は兼平との一所の死を望む。兼平は義仲に、大将としての潔い死を望む。忠義を重んずる兼平の思いと、乳兄弟としての義仲の思いが交錯し、人間的な苦しみが浮びあがる。後場クセドメの「我よりも、主君の御跡をまづ弔ひて賜び給へ」という言葉に、兼平の人間像が見えてくる。

定家 ていか
 冬枯れの紅葉をまとう都に北国方の僧がやって来る。突然の時雨に雨宿りをすると、どこから来たのか女が、ここは時雨の亭といって藤原定家卿の建てられた由緒ある建物だから定家の弔いをなさってはと勧める。そして僧を式子内親王の墓所に導く。幾星霜を重ねたその石塔にはびっしりと定家葛がはいまとわり形も見えない。女は僧に問われるままに、定家葛とつけられたその名の謂われ、式子内親王と定家の人目を忍ぶちぎりのこと、さらには式子内親王亡き後、定家の執心がこの葛となって墓にまとわり、二人は共に邪婬の業に苦しんでいることなどを物語り、やがて自分こそその式子内親王の亡霊であると明かして僧に回向を頼み消え失せる。 〈中入〉
 ……あと闇夜の一声……
 僧の弔いの中、「これは夢だろうか……」とつぶやき……。様々に交わしあった情愛の昔も去り、花も紅葉も夢も現も幻も全て消え失せ今はこのように身を葛に縛められ、苦しみの休まる時もないと嘆く。そこで僧が薬草喩品の経典を読誦すると葛もたちまち解けほぐれ式子内親王は報恩の舞を舞う。
 やがて舞も果て、夢の中、墓に帰ろうとする式子に、定家葛はまた幾重にも這(は)い纏(まと)い、墓を埋め尽くすのであった。

善界 ぜかい
 唐土の天狗の首領善界坊は、すでに本国では慢心の者達を天狗の道に誘いこんでしまったので、次は日本の仏法を妨げようと考え、山伏姿となって愛宕山の太郎坊という天狗を尋ねる。太郎坊は善界坊の魂胆を聞き、同意して、まず比叡山の様子をうかがうことにする。しかし不動明王は悪魔を祓う威力を持っているので不安にもなるが、二人の天狗は比叡山へと出かけて行く。   〈中入〉
 比叡山飯室の僧正が従僧をつれて車で都へ急いでいると、急に大風が吹き、雷鳴が轟く。驚いているところへ善界坊が天狗の姿で出現し、僧正に言葉をかけ、邪法を唱えながら車の長柄をつかんで僧正を魔道に誘引しようとする。僧正が不動明王に祈ると、不動明王が二童子や十二天を従えて現われた上、山王権現をはじめ男山、松尾の神々が現われて神風によって善界坊は吹きはらわれ、力尽きて今後は日本には来ないという声だけを残して雲の中へ消えて行くのであった。

出演者紹介
CAST

片山伸吾
Katayama Shingo
日本能楽会会員

小笠原匡
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

梅若実
Umewaka Minoru
日本能楽会会員

大江広祐
Ooe Kousuke
日本能楽会会員