井上定期能 3月公演

公演日時:2023/03/04(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)         井上 裕久
(能)  淡 路     浦部 幸裕
(狂言) 土 筆     茂山七五三
(番囃子)楊貴妃     勝部 延和
       臺留  ※都合により番囃子に変更させていただきます。
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

淡 路 あわじ
 朝臣が住吉参詣を機に淡路島へ渡る。そこへ春の田をならすために老人と男が現れ、当社が二の宮とあがめられる謂われを語る。二の宮とは、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二神を祀るという意味である。さらに老人は、国土創生について述べ立ち去る。夜半、月光のもとに伊弉諾尊が現われ颯爽と舞い、淡路島のできた謂われを示す。
 日本の国土は、伊弉諾尊が天の御矛によって創生したという。その初めが淡路島であり、矛からしただり落ちた露が凝り固まって島となったものと神話は語る。「あわじ」とは「あわ、地」から転じたものという。
 前場のツレ(男)は、古くは姥であったとも考えられる。後シテは通常、邯鄲男の面をかけた若い男神の出立としているが、天神や大天神をかけることもある。

楊貴妃 ようきひ
 安禄山の乱の時、馬嵬(ばがい)が原で殺された楊貴妃のことを忘れかねた唐の玄宗皇帝は、神仙の術を会得した方士(ほうじ)に命じて、彼女の魂魄のありかを尋ねさせる。方士は天上界から黄泉(よみ)の国まで探すが見当たらず、最後に、東の海上にあるという常世(とこよ)の国の蓬莱宮(ほうらいきゅう)へと辿り着く。太真殿(たいしんでん)という御殿に玉妃(ぎょくひ)という人がいると聞き、尋ね行くと、楊貴妃が姿を現す。貴妃は皇帝との昔を懐かしみ、別れの悲しみに沈む。方士は出会えた証に形見の品を請う。貴妃は玉の釵(かんざし)を渡すが、方士は、このような品よりも、帝とひそかに契られたお言葉があれば、それを聞かせてほしいと願う。貴妃は、七夕の夜、天にあらば比翼(ひよく)の鳥、地にあらば連理(れんり)の枝とならんと、永遠の愛を誓ったことを打ち明ける。そして、帰ろうとする方士より釵を受け取り、帝との過去を懐かしみ、貴妃の身上を叙述し霓裳羽衣(げいしょううい)の曲を舞って見せる。やがて方士は、釵を携えて帰り、貴妃は涙ながら太真殿に留まるのである。
 長恨歌に基いて構想された曲で、玄宗の寵姫であった楊貴妃の気品、その恋慕と哀傷を描いている。