京都観世会2月例会
Monthly Performances (February)

公演日時:2020/02/23(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)巻絹         河村浩太郎
(狂言)呂蓮        茂山あきら
(能)大原御幸       梅若実
(能)海士         橋本光史
入場料:
前売券(1階当日指定席)       ¥6,000
当日券(1階当日指定席)       ¥6,500
学生券(2階自由席)         ¥3,000
例会普通会員年間会費(会員券10枚) ¥43,000
例会6回会員年間会費(会員券6枚)  ¥27,000

演目解説

巻絹 まきぎぬ
 帝の宣旨により熊野権現に千疋の巻絹を奉納することになった。国々より巻絹が集められる中、都よりの奉納分が未だ届かない。その頃、都から遣わされた男はようやく熊野に着き、音無の天神に参っていた。冬梅の香に誘われた男は心中で歌を詠んで手向け、臣下の元に急ぐ。しかし、男は遅参を責められた末、縛められてしまう。そこへ一人の巫女が現れ、その男は音無の天神に歌を手向けた者、すぐに縄を解きなさいと言う。臣下が巫女の言葉を信じないので、試しに男に歌の上の句を問うと「音無にかつ咲き初むる梅の花」と詠じ、すぐさま巫女が「匂はざりせば誰か知るべき」と下の句を継ぐ。心中で詠んだはずの歌が神によって明らかにされたので、巫女は男の縛めを解く。更に巫女は、天竺の婆羅門僧正と行基菩薩の間で交わされた歌を引いて、歌の徳を讃美する。臣下に祝詞の奏上を求められた巫女は、幣を手にして俄に神懸かり、熊野権現を称えて神楽を舞う。全山の神々が乗り移った巫女は激しく舞い狂うが、突然幣を捨てて狂いより覚め、神の上がったことを告げる。

大原御幸 おはらごこう
 まず臣下により、後白河法皇の大原への御幸が告げられる。
 大原では、建礼門院が阿波内侍(あわのないし)、大納言局(だいなごんのつぼね)と共に寂光院に籠り、我が子安徳天皇、母二位尼、そして平家の一門の菩提を弔っている。そして仏の供物を採りに、大納言局を伴い山へ分け入る。      〈中入〉
 その留守に、法皇の御幸となる。阿波内侍は萬里小路中納言(までのこうじのちゅうなごん)と法皇に、女院(にょういん)の留守を知らせる。やがて山より帰った女院は法皇の御幸を知り、閻浮の世に引き戻される苦しさに耐えながら、法皇に対面する。法皇は、六道の苦しみそのままであった平家滅亡の有様を女院に語らせ、さらに安徳帝の最期までその母に語らせる。二位殿に抱かれて海に沈んだ我が子を追って入水するも、源氏の武士に引き上げられ、命ながらえて今また法皇に会っている心苦しさに、女院は涙を止めることはできない。
 やがて還幸となり、法皇を見送る女院。戦で我が子も母も、愛するすべてを失った一人の女性の悲しみと苦悩は、この寂光院に永遠に留まるのである。

海士 あま
 藤原不比等(ふひと)の世継ぎ房前の大臣は、母親が讃州志度の浦の房前という所で亡くなったと聞いて、追善を思い立って志度の浦までやってきた。そこへ一人の海士が現れ、次のように物語る。――唐の高宗の妃となった不比等の妹が氏寺である興福寺へ三種の宝を送ったところ、その中の明珠がこの沖で龍神に取られた。不比等は身をやつしてこの浦に下り、海士少女と契って一人の子をもうけ、明珠を奪い返すことが出来たらこの子を世継ぎにすると約束する。女は命懸けで海底に入り、ついに明珠を奪い返したのである。――房前は自分こそその海士の子であると名乗る。海士も自分が母の亡霊であることを明かし、回向を乞うて波の底に消え失せる。  〈中入〉
 房前が追善供養をして母を弔っていると、母の海士が龍女となって現れ、追善の法華経の功力で成仏できたことを喜び、経文を唱えて報謝の舞を舞うのであった。

出演者紹介
CAST

河村浩太郎
Kawamura Kotaro

茂山あきら
Shigeyama Akira
日本能楽会会員

梅若実
Umewaka Minoru
日本能楽会会員

橋本光史
Hashimoto Koji
日本能楽会会員