<代替公演>京都観世会3月例会
Monthly Performances (March)

代替公演日時:2020/07/11(土・SAT) 13:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)田村 替装束     古橋正邦
(能)熊野 読次之伝    片山九郎右衛門
      村雨留
      墨次之伝
(能)鞍馬天狗       味方團
入場料:
本公演は新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに沿った対策を講じる為、入場制限付きの事前申込制をとらせて頂きます。
詳細は、トップページのお知らせをご覧ください。年間会員様には事務局より申込案内を送付致します。

演目解説

田村 たむら 替装束 かえしょうぞく
 東国の旅僧が弥生中旬、都・清水寺に着く。僧が今を盛りの桜を眺めていると、童子が現われ箒で木陰を掃き清める。僧が清水寺の来歴を尋ねると、大同二年坂上田村麻呂の御願により創建されたと語り、僧にこの所の名所を教えだす。南には清閑寺、その向こうは今熊野、北には鷲の尾の寺(霊山寺)と語るうち、音羽山から月が出、地主の桜に映る。花の香、月の光、映える桜、正に春の宵の一刻は千金に値すると二人は眺め尽くす。僧は童子がただ者とは思えず尋ねると、童子は自分の行く方を見よと言って地主権現の田村堂に入って行った。              〈中入〉
 僧が桜の下で経を読んでいると坂上田村麻呂の霊が現われ、勅命により軍勢を指揮して伊勢路に入った時、安濃の松原で数千騎の敵に出会ったが、心中に仏力神力の加護を祈願すると、千手観音が現われ大悲の弓を持ち千の矢を放たれたので、敵は悉く滅びた事を語り、観世音の力を讃えて消えて行く。

熊野 ゆや 読次之伝 よみつぎのでん 村雨留 むらさめどめ 墨次之伝 すみつぎのでん
 平宗盛の寵姫=熊野のもとへ、故郷の遠江から朝顔が病母の便りを持参する。心弱くなっている母の様子に、熊野は宗盛にその手紙を披露して、母に会いたいと暇を乞うが宗盛は許さず、自分のエゴから、花見の供を命じ、牛車で清水寺に向かう。途中、都大路の春景色にも熊野の心は母を案じてなごまず、下車をするとまず観世音に母の快癒を祈る。やがて花の下での酒宴が始まり、熊野は心ならずも舞を舞わされるが、折しもにわかに村雨が降り出し、熊野は舞をやめて、「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」と、一首の歌を短冊にしたためて宗盛に差し出すと、宗盛はさすがに哀れを感じて帰国を許し、熊野は喜んでその場から故郷へと急ぎ出立するのだった。
鞍馬天狗 くらまてんぐ
 鞍馬山の天狗が花見をするべく西谷に赴く。おりしも東谷の僧が稚児を伴い、西谷に来る。桜の花を見、能力に舞を舞わせて楽しむところに、山伏が入ってくる。座をさまされ、能力は怒り、追い出そうとするが、僧にとどめられ、逆に一同が帰っていく。後には山伏と牛若丸が残る。平家全盛の中で、疎外される牛若丸に山伏は心をかけ、神通力で各地の花を見せる。名を尋ねる牛若に、鞍馬の大天狗であることを告げ、兵法を伝授することを約束して消え失せる。            〈中入〉
 りりしい出で立ちの牛若丸の前に天狗が威容を現し、兵法を伝え、行く先の守護を約束する。
 世阿弥は稚児を幽玄なものと記した。桜の幽玄、稚児の幽玄、そして山伏と牛若の間に生まれる感情。美しく、しかも力強い部分もある人気曲である。

出演者紹介
CAST

古橋正邦
Furuhashi Masakuni
日本能楽会会員

片山九郎右衛門
Katayama Kurouemon
日本能楽会会員

味方團
Mikata Madoka
日本能楽会会員