<代替公演>京都観世会5月例会
Monthly Performances (May)

代替公演日時:2020/08/13(日・SUN) 13:00
主催:京都観世会
演目:
(能)頼政         橋本擴三郎
(能)千手 郢曲之舞    浦田保浩
(能)舎利         田茂井廣道
入場料:
本公演は新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに沿った対策を講じた公演とさせて頂きます。

演目解説

頼政 よりまさ
 諸国一見の旅僧が宇治に着く。一人の老人がやってきたので名所旧跡を尋ねると、名所を教え、平等院へ案内し「昔、この所で源頼政が扇を敷き自害をなさった。名将の旧跡だからと扇の形に芝を残し、今でも『扇の芝』というのです」と教える。僧が回向をすると、老人は喜び「私は実は頼政の幽霊である」と名乗り消える。〈中入〉  やがて法体の身に甲冑を帯した老武者・頼政が現れ、回向を頼む。そして宮戦の起り、宇治に陣を構えた模様を語る。また宇治川をはさんでの源平の戦い、中にも平家の田原又太郎が三百余騎で川を押し渡ったため、源氏方は最期の戦を壮絶に行ったことなどを仕方語りに見せる。そして「埋れ木の花咲くこともなかりしに、身のなる果はあはれなりけり」と辞世の歌を詠んで自害したことを述べ、僧に今一度回向を頼み、頼政の霊は扇の芝の草の陰に消えてゆく。
千手 せんじゅ 郢曲之舞 えいぎょくのまい
 平重衡は、一の谷の合戦で生け捕られて鎌倉へ護送され、狩野介宗茂に預けられていた。源頼朝はこの平家の御曹子に同情を寄せ、手越の宿の長者の娘である白拍子千手の前をつかわし、これを慰めた。ある春の夜、宗茂が重衡に酒を勧めようとするところへ、千手も琵琶・琴を持って訪れる。重衡は先日千手を通して頼朝に願い出た出家の望みが叶わぬことを告げられ、これも父清盛の命令とは言いながら、南都(奈良)の仏寺を焼いた罪業の報いかと悔い嘆く。折柄、宗茂が雨の夕べの徒然を慰めようと、酒を持って来たので、千手も、たとえ十悪の身なりとも、浄土へ引摂される由の詩を朗詠し、舞を舞って重衡の心を慰める。重衡が興に乗じて琵琶を弾くと、千手も琴を弾き合わせ、夜が更けてゆく。しかし、やがて重衡は勅命によってまた都へ送り帰されることとなり、鎌倉を出立する。千手は涙ながらにそれを見送る。
舎利 しゃり
 出雲の国、美保の関の僧が洛陽の仏閣を見ようと都へ上る。東山泉涌寺に行き、聞き及んでいる十六羅漢や仏舎利を見るため、寺の能力に案内を頼み仏舎利を拝んでいると、里人がどこからともなく現れ、一緒に仏舎利を拝んでいる。寺の辺りに住むその男は仏法東漸のこと、霊鷲山のことなどを語る。不思議なことに、にわかに空がかき曇り、稲妻が光る。男の顔色は変わり鬼の形相になり、実は足疾鬼の執心であり今もこの舎利に望みがあると言い、舎利殿に飛び上り、舎利を奪い、天井を蹴破って虚空に飛び去る。                           〈中入〉  物音に驚いた能力は舎利殿に行き、舎利が奪われたことに気づく。僧は能力から、昔、釈迦入滅の時に足疾鬼が現れ牙舎利を奪って飛び去ったが、韋駄天が取り返した話を聞く。僧と能力は韋駄天に祈る。すると舎利を奪い取った足疾鬼が悠然と現れるが、続いて仏法の守護者である韋駄天が現れ、天界に追い上げ下界に下し舎利を奪い返すと、足疾鬼は力も尽き消え失せる。

出演者紹介
CAST

橋本擴三郎
Hashimoto Kozaburo
日本能楽会会員

浦田保浩
Urata Yasuhiro
日本能楽会会員

田茂井廣道
Tamoi Hiromichi
日本能楽会会員