京都観世会11月例会 第二部
Monthly Performances (November)

公演日時:2020/11/22(日・SUN) 14:30~
主催:京都観世会
演目:
(能)半蔀         片山九郎右衛門
(能)鉄輪         浦田保親
入場料:
本公演は新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに沿った対策を
講じた公演とさせて頂きます。

演目解説

半蔀 はじとみ
 紫野雲林院に住む僧が夏の間仏前に供えていた花を供養していると、どこからともなく一人の若い女が現われ、白い夕顔の花を供える。僧が女の名前を尋ねると、生前に五条辺りに住んでいた亡者であると答えて、花の陰へと消え失せる。  〈中入〉
僧は所の者から光源氏と夕顔という女の恋物語を聞き、勧めにしたがって五条辺りに弔いに出かける。そこには草の生い茂った家があり、中から女の声が聞こえてくる。僧が姿を見せるように言うと、夕顔の霊が半蔀を押し上げて昔の姿で現れる。夕顔は光源氏との馴れ初めを物語り、思い出の舞を舞う。そして明け方が近づくとまた半蔀の中へと消えてゆくのだった。 この曲は同じ主人公を配した別曲《夕顔》とは異なり、夕顔の不慮の死にはふれず、光源氏との恋の思い出に重点を置いた情緒あふれるものである。どちらかといえば、本来の「夕顔」自身というより、「夕顔」という花の精を強調した作りとなっている。夕顔の花のまつわり咲いた半蔀の奥にかすかな透影を見せた女の姿。夕闇にほのぼのと白い笑みの眉をみせる花。イメージを全面にオーバーラップさせ、人間味を限りなく消した演出は、実に素直で見やすく、ひたすら美しい。

鉄輪 かなわ  早鼓   はやつづみ
 夫に見捨てられた女が恨みを晴らすため貴船明神に参ると、社人が神のお告げを伝える。赤い着物を着て顔に朱を塗り、鉄輪を頭に戴き三つの足に蝋燭を付けて火を灯せば、生きながら鬼となって恨みを晴らせる、と言うのである。するとたちまち女の髪は逆立って凄まじい姿になり、雨降り雷鳴とどろく中、わが家に駆け戻る。
                                  〈中入〉
 その夫は近頃夢見が悪く、陰陽師の安倍晴明に祈祷を頼むと、晴明は「本妻を離別し新しい妻を迎えたためである。今夜にもあなたの命が危ない」と判断し、先妻の祈りが今夜満願になるので呪いを人形(ひとかた)に転ずると言う。晴明が祈祷を始めると雷雨の中先妻の生霊が現れ、男の人形に向かって恨みを述べ、後妻の人形の髪を手に絡めて打ち叩き、男の命を取らんばかりに責め寄る。しかし守護の神々に追われて力も弱り、呪いの言葉を残して鬼となって消え失せる。

出演者紹介
CAST

片山九郎右衛門
Katayama Kurouemon
日本能楽会会員

浦田保親
Urata Yasuchika
日本能楽会会員