京都府次世代等古典芸能普及促進公演

井上定期能 12月公演

公演日時:2020/12/05(土・SAT) 13:00~
主催:井上定期会
演目:
(能)葛城 大和舞       浅井通昭
(狂言)盆山          茂山忠三郎
(仕舞)敦盛 キリ       井上裕久
(仕舞)巻絹 キリ       杉浦豊彦
(能)阿漕           浦部幸裕
入場料:
前売券     ¥3,800
当日券     ¥4,500
学生券     ¥2,000
五枚綴券    ¥17,500

演目解説

葛城 かづらき 大和舞 やまとまい
 出羽国羽黒山の山伏が、大和国葛城山へと着く。降りしきる雪に困惑していると、一人の女が現れて庵に案内し、宿を貸す。女が焚火をしてもてなすと、山伏はその好意に謝し、やがて後夜の勤行を始めようとする。すると女は、そのついでに加持祈祷をして、三熱の苦しみを助けてほしいと頼む。山伏が不審に思い尋ねると、女は葛城の神であるが、昔、役ノ行者に命ぜられた岩橋を架けなかった為、不動明王の索に縛られ苦しんでいると言って消え失せる。山伏が夜もすがら祈祷をすると、葛城の神が現れ、三熱の苦しみを免れたことを喜び、大和舞を舞い、暁近くに岩戸の内へと姿を消す。 「大和舞」の小書の節は、雪をいただいた作り物に白い引き回しをかけて大小前へ出す。これは雪山を表わし、前シテはそこへ中入りする。後場の「序之舞」は「神楽」となり、装束も常とは変わる。
阿漕 あこぎ
 九州日向国(宮崎県)の男が伊勢国(三重県)安濃(あの)の郡(こおり)へ来る。そこへ一人の年老いた漁師が現れ、ここが阿漕が浦であると男に教える。旅人がこの浦を詠んだ古歌「伊勢の海、阿漕が浦に引く網も、度重なれば顕れにけり」を口ずさむと、漁師も「逢ふ事も、阿漕が浦に引く網も、度重ならば顕れやせん」と別の古歌を詠じる。つづいて旅人がこの「阿漕が浦」の名の謂れを尋ねると、漁師は、昔からこの浦は、伊勢大神宮の御膳を調える為の網を入れるところなので、一般には禁漁とされていたが、阿漕という漁師が度々密漁をし、捕えられてこの沖に沈められたことからここを阿漕が浦というようになったと物語って消え失せる。旅人が法華経を読誦して回向をすると阿漕の亡霊が四手網を持って現れ、密漁の有様と地獄での苦しみを見せ、救いを求めてまた浪間に消えてゆく。