第六回復曲試演の会 追加公演

公演日時:2021/7/24(土・SAT) 13:00~
主催:京都観世会
演目:
(講演)「響き合う詩人の魂 -篁と後鳥羽院-」
         法政大学名誉教授 西野 春雄
     小野篁 供養
      大椿山 六道珍皇寺 住職 坂井田興道

(復曲能)篁     味方 玄
(能)  葵上    河村 晴道
入場料:
S席(1階正面指定席)       ¥8,000 
A席(1階脇正面指定席)      ¥7,000 
B席(1階中正面自由席/2階自由席)¥6,000 
学生(2階自由席)         ¥2,000 
※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

【チケット発売】WEB先行 4月24日(土)午前9時より
        会館窓口  5月12日(水)午前9時より

■謡本「篁」は京都観世会館にて発売中
     1冊 ¥1,000(税込)   ※「篁」正誤表

演目解説

たかむら
 小野篁(おののたかむら)は、政務能力に優れた平安初期の漢詩人・歌人。後の小倉百人一首に「「わだの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣舟」が選定された。多情多感、博識で世俗に妥協せぬ反骨の士。身長六尺二寸(約188cm)の巨漢で、野宰相(やさいしょう)、野相公(やしょうこう)、野狂(やきょう)とも称された。世阿弥時代の説話集に「炎魔宮ノ第三ノ冥官ノ化生ナル故ニ、身ハ朝廷ニ仕ヘ、魂ハ冥途ニ通セリ」とあり、京都・六道珍皇寺には、伝説の「冥土通いの井戸」「黄泉がえりの井戸」がある。 隠岐(島根県)へ流され果てた悲運の歌人帝王・後鳥羽院の心情を、同じく隠岐へ流され、そこで果てた篁をして慰める展開(果てた話はフィクション)。地獄の冥官(みょうかん)(閻魔庁の役人)としての篁が、地獄の金札(きんさつ)(善行・悪行の者の名が記され、極楽、地獄が決まる)を手に現れ、逆臣らを地獄へ落とす沙汰を見せる。その姿を後鳥羽院の内なる逆鱗と重ね合わせ、心情大きなスケールで描く。
 晩春。隠岐の島へ後鳥羽院を訪ねるため、北面の武士だった男が僧の姿となり出雲国千酌(ちくみ)の浜に来る。釣舟を操る老人に「沖まで」と頼むが、沖にさしかかると「とてものことに隠岐まで」と真の目的を明かす。老人は、配流の地・隠岐は厳戒だから近づけぬと断るが、僧の強い志に打たれ命をかけて渡そうと漕ぎ出す。やがて島に着いた老人は、名を小野、さらに篁の古歌を言いさして、海へ戻っていく。
                                 〈中入〉
 院と対面できた僧がその老人のことを話すと、院は、さては篁の霊であろうと推量し、島内にある篁の塚を尋ね弔う。すると塚から、地獄の冥官すなわち鬼形の篁が現れ、逆臣の輩(ともがら)をことごとく即座に地獄へ落とし、院の叡慮を慰めるのだった。

葵上 あおいのうえ
 『源氏物語』葵の巻などに取材し、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)をヒロインとして、恋慕と嫉妬、因果などの普遍的な主題を描く曲である。今回の古式では、『申楽談儀』にある犬王道阿弥(いぬおうどうあみ)所演の「葵上」の記事に基づき、曲を貫くモチーフである「破れ車」(賀茂の祭の車争いで打ち壊された屈辱の象徴)の作り物を出し、車副(くるまぞえ)の女(青女房/あおにょうぼう)をツレとして登場させ、脚本の整合性を明らかにする。
 ただ今回は、能が志向した具象から抽象、象徴性への道を大切にし、昔帰りではなく、未来志向の演出にしたい。

出演者紹介
CAST

味方玄
Mikata Shizuka
日本能楽会会員

河村晴道
Kawamura Harumichi
日本能楽会会員