京都観世会8月例会
Monthly Performances (August)

公演日時:2021/08/22(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 邯鄲        浅井 通昭
(狂言)寝音曲       茂山  茂
(能) 玉鬘        河村 博重➡杉浦 豊彦
(能) 恋重荷       観世銕之丞
※都合によりシテの配役が変更となりました。ご了承ください。
入場料:
   前売券 一般   自由席   ¥6,000
   当日券 一般   自由席   ¥6,500
   学生券   2階 自由席   ¥3,000

    ***8月例会前売券について***
前売券(一般6,000円・学生2階自由席3,000円)は、7月1日より事務所・
電話・WEBにて、限定数での発売といたします。
なお年間普通会員・6回会員の方は、事前予約無しでご入場いただけます。
※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

演目解説

邯鄲 かんたん
 蜀の国の青年盧生は人生の悩みを解決しようと、楚の国の羊飛山に住む高僧の教えを受けるために旅に出る。途中、邯鄲の里で宿をとった盧生は、宿の女主人から奇特な邯鄲の枕のことを聞き、粟の飯が炊けるまでの間、その枕で一眠りする。――眠りにつくやいなや勅使がやって来て、盧生に楚の国の王位が譲られたと告げる。思いもよらない知らせに驚く盧生を乗せ、輿は宮殿に着く。雲龍閣や阿房殿のすばらしさ、金銀の砂を敷きつめた壮大な庭の美しさ、出入する人々の装いの見事さ。栄華の日々を送ること五十年。廷臣が盧生に千年の寿命を保つ霊酒を奉げる。童の舞を見つつ自らも喜びの舞を舞う――ハッと目覚めるとそこは、もとの宿の部屋、女主人が粟の飯が出来たことを知らせる。茫然と起きあがった盧生は、栄華に満ちた日々も所詮は粟炊く間の一睡の夢と悟り、人生の悩みも消え、晴れやかに故郷へ帰って行く。
玉鬘 たまかづら
 旅の僧が奈良から初瀬詣でに出かけ、初瀬川のほとりにさしかかると、川舟を操る一人の女性が現れる。僧が言葉をかけると、長谷寺へ参るというので、女の案内のもと有名な二本杉を訪ねる。女は僧に「源氏物語」の玉鬘の話をする。昔玉鬘内侍は母である夕顔の死後、筑紫に下って乳母に育てられたが、様々な悲しい出来事の末、ようやく都へと脱出する。しかし都においても頼る者もなく、大和の長谷寺に参詣すると、母の侍女であった右近に再会し、右近が当時仕えていた光源氏に引き取られることになる。女は僧と会う機会を得たのも、ありがたい仏のお導きだと言って玉鬘の回向を頼む。そして自分こそが玉鬘の霊であることをほのめかして消える。 〈中入〉  僧が弔いをなすと、髪を乱した玉鬘の霊が現れて、男たちの様々な物思いの種となった我が身が、死後も妄執の苦しみから抜け出せないと打ち明ける。しかしそれも恥ずかしいことと思い、迷いから覚めて成仏するのであった。 この曲に登場する長谷寺や石山寺は、当時の観音信仰の聖地であり、具体的な心からの悩みを打ち明けながら祈りを捧げる人たちの拠り所であった。『玉鬘』においては親子に亘って逃れ得ない妄執が『源氏物語』の宿業の主題と響き合って描かれている。
恋重荷 こいのおもに
 白河院の菊づくりの老人山科の荘司(しょうじ)は、ふとしたおりに美しい女御の姿をかいま見、以来恋にとりつかれた。女御は人の力ではとうてい持てぬ重荷を華麗に装い、この荷を持って庭を百度千度めぐったら、その間に姿をみせてもよい、と伝えさせる。昔から和歌世界で恋に落ちた者の心の重荷を“恋の重荷”と詠む。重荷を持てとは、貴族一流のしうちである。荘司は恋の一心から、渾身の力で荷を持とうと、いくたびも試みるが、もとより持てる道理はない。荘司は恋の成就せぬということだと思いこみ、女御を怨んで庭で狂い死にしてしまった。じつは、身の程知らぬ恋と思い知らせるための嘲弄的方便だったのだ。肉体をともなってこその貴賤。もはや肉体をほうむり去った荘司の魂は、日常の現象界を超えた存在と化して、女御に怨みのたけを訴えに立ちかえって来、女御を責めさいなむ。さてそののち、「葉守りの神となりて千代の影を守らん」というのは、こんにち、どう読めばいいのだろうか。悪霊ひるがえって善神となる自己昇華なのか。背後霊としてぴったり寄り添って、もはや離れぬ、喜びも苦しみも永劫にともにしようというのか。

出演者紹介
CAST

浅井 通昭
Asai Michiaki
日本能楽会会員

茂山  茂
Shigeyama Shigeru
日本能楽会会員

杉浦 豊彦
Sugiura Toyohiko
日本能楽会会員

観世銕之丞
Kanze Tetsunojo
日本能楽会会員