井上定期能 10月公演

公演日時:2021/10/02(土・SAT) 13:00~
主催:井上定期会
演目:
(能) 鶴 亀      𠮷田 潔司
(狂言)察 化      茂山七五三
(能) 蝉 丸      橋本 雅夫
      替之型
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500

演目解説

鶴亀 つるかめ
 所は中国、官人が出て皇帝の徳をたたえ、月宮殿への行幸を人々に告げる。厳かな雰囲気の中、皇帝が臣下を従えて現われ玉座に座す。月宮殿で節会が始まり帝は群臣から拝賀を受ける。続いて大臣が、毎年の嘉例により、鶴と亀に舞を舞わせることを奏聞する。長寿の象徴である鶴と亀は祝いの舞を奏で、千年万年の寿命を帝に捧げる。喜んだ帝は自ら舞楽を舞い、御代を寿ぐ。
 冒頭囃子方、地謡が座に付くと、後見が舞台正面奥に引き立て大宮という作り物を据える。これは宮殿を表わし、シテ皇帝は作り物に入り床几にかける。宮殿の豪華さを表現する地謡のうちにツレ(鶴と亀)が登場する。鶴は小面をかけた女装、亀は邯鄲男をかけた男装であるが、直面の子方にすることも多い。シテは本文では帝とのみ記すが、アイ狂言(官人)のせりふにより玄宗皇帝とする。内容もめでたく詞章も短いことから、謡曲の稽古はじめの曲としても馴染み深い演目である。

蝉丸 せみまる
 延喜帝第四皇子である蟬丸は、生まれつき盲目であった。勅諚により捨てられる身として、清貫らに伴われ逢坂山に着く。髪を下ろして出家の姿となった蟬丸を残し、清貫たちは去って行く。様子を知った博雅(はくが)の三位(さんみ)(アイ)が蟬丸のために藁屋をしつらえ世話をする。
一方、姉の第三皇子逆髪は、髪が逆立つ故に狂乱の身となり、都を出て逢坂山を通りかかる。蟬丸の奏でる琵琶の音を聞きつけ、逆髪と蟬丸は偶然にも再会する。二人は互いの不運を歎きあい、しばし語らうも、やがて逆髪は涙ながらに別れを告げ、蟬丸は声を頼りに姉を見送る。
現行ではシテ逆髪、ツレ蟬丸としているが、いわゆる両シテの能であり、小書(特殊演出)「替之型」ではその度合いが濃くなり、通常脇座に据えられる藁屋の作り物は、笛座前または大小前に据えられる。