京都観世会6月例会
Monthly Performances (June)

公演日時:2022/06/26(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 蟻 通       河村 和重
(狂言)鱸包丁       善竹 隆司
(能) 夕 顔       片山九郎右衛門
      山ノ端之出
(能) 海 士       橋本 忠樹
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,000
一般前売自由席券          ¥6,000
一般当日券  (自由席)      ¥6,500
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
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演目解説

蟻 通 ありどおし
 歌人紀貫之は、和歌の神でもある玉津島明神に参ろうと、紀の路の旅に出る。その途上、にわかに日が暮れ大雨が降り、乗っていた馬も伏して動かなくなった。困り果てているところに、傘をさし松明(または燈籠)を持った宮守の老人が現れ、物(もの)咎(とが)めされる蟻通明神の神域を、下馬もなく通るとは命もあるまい、と言う。なるほど宮守の待つ燈の向こうに社があり、貫之は恐縮する。宮守は彼が貫之と分かると、和歌を詠んで神に手向けよと勧める。貫之は「雨雲の立ち重なれる夜半なれば ありとほしとも思ふべきかは(雨雲の重なる闇夜ゆえ、星があるとも、蟻通の明神とも思いはしなかった)」と詠む。宮守は歌の面白さに感じ入り、和歌の源流やその徳を説き聞かせる。貫之の歌は神に通じ、馬も歩み始める。今度は貫之の勧めで宮守が祝詞を上げ、神楽を奏する。やがて宮守に化現していた蟻通の神は上がられ、貫之も喜び旅を続けるのであった。
夕顔 ゆうがお  山ノ端之出  やまのはので
 豊後国(現大分県)の僧が都に上り、仏閣を廻っている。ある日五条辺りに来ると、破屋より歌を吟ずる女の声が聞こえる。女は紫式部の昔を思い、恋の妄執に悩む風情である。僧が所の名を尋ねると、女は、ここを紫式部は何某の院とのみ記したが、かつては源融の河原の院であり、後には光源氏に伴われた夕顔の上が、物怪に憑かれて命を落とした所であると答える。そして『源氏物語』、殊に「夕顔の巻」について詳しく語り、夕顔が息消えた有様を再現し、その夕顔が夢に現れあなたに語っているのだと言って消え失せる。                  〈中入〉
 所の人から源氏と夕顔のことを詳しく聞いた僧が、法華経をもって弔うと、ありし日の夕顔が現れる。夕顔は物怪に憑かれ命を失った身の弔いをなお僧に頼み、陰惨な風景と心象を見せるが、僧の弔いによって魂を救われたことを喜び、法の道に往くと見えて明方の雲に消えていった。
海士 あま
 藤原不比等(ふひと)の世継ぎ房前の大臣は、母親が讃州志度の浦の房前という所で亡くなったと聞いて、追善を思い立って志度の浦までやってきた。そこへ一人の海士が現れ、次のように物語る。――唐の高宗の妃となった不比等の妹が氏寺である興福寺へ三種の宝を送ったところ、その中の明珠がこの沖で龍神に取られた。不比等は身をやつしてこの浦に下り、海士少女と契って一人の子をもうけ、明珠を奪い返すことが出来たらこの子を世継ぎにすると約束する。女は命懸けで海底に入り、ついに明珠を奪い返したのである。――房前は自分こそその海士の子であると名乗る。海士も自分が母の亡霊であることを明かし、回向を乞うて波の底に消え失せる。   〈中入〉
 房前が追善供養をして母を弔っていると、母の海士が龍女となって現れ、追善の法華経の功力で成仏できたことを喜び、経文を唱えて報謝の舞を舞うのであった。

出演者紹介
CAST

河村 和重
Kawamura Kazushige
日本能楽会会員

善竹 隆司
Zenchiku Takashi
日本能楽会会員

片山九郎右衛門
Katayama Kurouemon
日本能楽会会員

橋本 忠樹
Hashimoto Tadaki
日本能楽会会員