春の素謡と仕舞の会

公演日時:2023/03/12(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(素謡)養 老       味方  團
(素謡)采 女       片山九郎右衛門
(素謡)砧         梅若 桜雪
(素謡)山 姥       井上 裕久
入場料:
    一般前売   ¥4,500
    一般当日   ¥5,000
    学  生   ¥2,500

    ※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

      WEB予約・購入はこちら

演目解説

養老 ようろう
 雄略天皇の頃、濃州(美濃)の本巣という所に不思議な泉が出ると聞いた天皇は、勅使を遣わして検分を命じます。本巣に着いた勅使は、老人と若者に出会います。老人の息子であるその若者は朝夕山に入って薪を採って両親を養っていましたが、ある時、山路に疲れてこの水を飲んだところ、さわやかになり疲れも癒えたので、汲み帰って父母にも与えると、すっかり若返ったというのです。老を養うというところから養老の滝と名がついたといいます(養老とは敬老の意を含む)。老人は滝壺を指し示し、養老の滝から湧く薬の水を讃えます。そのうち天から音楽が聞こえ、花が降り、山の神が現れて御代のめでたさを祝福します。世阿弥作。
采女 うねめ
 春の奈良・春日の里が舞台。世阿弥作ともいわれます。都からやってきた諸国一見の僧は、現われた一人の女性に猿沢池へ誘われ、弔いを頼まれます。女性曰く、昔ある采女が帝に恋したが叶わずこの池に身を投げた――。さらに「吾妹子が寝ぐたれ髪を猿澤の池の玉藻と見るぞ悲しき」の歌は帝がこの采女に対して詠んだ歌で、自分こそがその采女の霊であると言うや、池水の底に姿を消します。僧が夜もすがら法華経を読んでいると、池の中より采女の霊が再び現れ、法華経が説く「変成男子龍女成仏」により成仏して極楽に生まれたことを述べます。そして、采女の逸話を話し、昔の帝との「曲水の宴」を思い起こし、御代を祝福し、再び池の底へ消えていくのでした。
きぬた
 九州芦屋の某は、訴訟のため在京しすでに三年、留守を守る妻の元へ、この秋には帰るとの知らせを持たせ夕霧を遣わします。妻は夫の永い不在の寂しさを慰めるように夕霧を相手に砧を打ちます。蘇武の妻が夫を想い打った砧の音が胡国の蘇武に届いた、という中国の故事を引き、一心に砧を打ちます。砧の音に寄せて、吹く風、月の色、牡鹿の声、虫の音、置く霧…と、物悲しい晩秋の情趣が謡われます。そして、霧が落ちるようにほろほろはらはらとこぼれる涙。しかしやがて、暮れにも夫は帰れないとの知らせが届き、妻は絶望のうちに命を落とします。妻の死を知って急ぎ帰った夫の前に妻の怨霊が現れ、夫の心変わりを責め立てますが、法華経の力で成仏します。世阿弥作。
山姥 やまんば
 越後国が舞台。世阿弥作ともいわれます。都に、山姥の曲舞を得意とする百萬山姥と呼ばれる遊女がいました。従者を連れて信濃国・善光寺に参る途中、上路越にさしかかると、突然日が暮れたように暗くなり一行は困惑します。そこに不思議な女が現れ、宿を貸そうと庵に案内します。庵に着いた一行に、女は、自分こそが山姥であると明かし、月の出るころに謡えば真の姿を現そうと言って姿を消します。すると、まわりは瞬く間に明るくなります。夜が更け、一行の前に現れた異様な姿の山姥は、約束通り舞い、山姥の本性を語ります。そして深山の光景、山姥の境涯を語り、山また山を廻りながら姿を消すのでした。

出演者紹介
CAST

味方  團
Mikata Madoka
日本能楽会会員

片山九郎右衛門
Katayama Kurouemon
日本能楽会会員

梅若 桜雪
Umewaka Rosetsu
日本能楽会会員
重要無形文化財保持者
(各個認定/人間国宝)

井上 裕久
Inoue Hirohisa
日本能楽会会員