京都観世会3月例会
Monthly Performances (March)

公演日時:2023/03/26(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 白 鬚        吉浪 壽晃
(狂言)盆 山        茂山忠三郎
(能) 東 北        浦田 保浩
(能) 船 橋        田茂井廣道
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,000
一般前売自由席券          ¥6,000
一般当日券  (自由席)      ¥6,500
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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・・・・・・・・・例会会員入場券の年間会費・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
WEBにて事前指定が可能です。
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特別会員年間会費(会員券10枚)  ¥75,000
普通会員年間会費(会員券10枚)  ¥43,000
6回会員年間会費(会員券6枚)  ¥30,000

演目解説

白鬚 しらひげ
 勅命をうけた臣下が、琵琶湖畔の白鬚神社に参詣すると、釣りから帰る漁翁と若者に会う。漁翁は、むかし釈迦が日本に渡った折、志賀の浦で釣りをする老人に比叡山を仏法修行の清浄地として所望したところ、老人には自分が釣りをするところがなくなると言って断られるが、そのとき現れた薬師如来に比叡山を開いて仏法をひろめることをすすめられたのだ、という話をする。その折の老人が白鬚の神であると語り、自分はその明神であると言い、社壇に入ってゆく。          〈中入〉
 やがて末社の神が現れめでたく舞を舞う。続いて社殿の扉が開いて白鬚明神が出現し、舞楽を奏して勅使を慰めると、そこへ天女は天灯をもち龍神は龍灯をささげて現れ、山河草木の輝くなかで相舞を舞い、奇特を示す。

東北 とうぼく
 東国方の僧が都を見たことがないので、この春思い立って都に上るのだという。都に着くと梅が咲いている。所の男に梅の名を教えてもらう。この梅は「和泉式部」という名なのだと思い眺めていると、一人の女が声をかける。「その梅は、この寺がまだ上東門院(一条天皇の中宮・彰子)の住まいであった時、彰子にお仕えしていた和泉式部が植えた〝軒端の梅〟です」と教える。また境内の方丈(一丈四方の室、寺の住居部)も和泉式部の方丈で、その当時のままであることを教える。やがて女は「梅の主」であると言うや、夕暮れの花の蔭に隠れて見えなくなってしまう。 〈中入〉
 僧は先ほど梅の名を教えてくれた男にこの東北院が都の鬼門を守る寺であることや和泉式部のことなどを語ってもらうと、夜もすがら軒端の梅の蔭に居て法華経を読んで通夜をする。すると和泉式部とも梅の精とも思われる女が現れ、僧の法華経譬喩品読経を謝すると共に、昔の御堂の関白(道長)のことを思い出しつつ、僧に言葉をかける。和泉式部はその和歌の徳により歌舞の菩薩となって、火宅を出で、成等正覚(成仏)を得ることができたという。女は和歌の徳を述べ、東北院の有様を語り、舞歌をなしていたが、今はこれまで、こここそ花の台よと方丈の室に入っていかれたと見て、僧の夢は覚めるのだった。
 能《東北》に描かれる和泉式部は、その詠み残した数々の和歌の徳により歌舞の菩薩となって現れ、東北院の有様、そして昔を語る。その姿は凛としていて、祝言性に満ち、まさに梅の花の風情そのものである。
船橋 ふなばし
 三熊野の山伏が松島・平泉へ下る途中、上野国佐野の里に着くと、その里の男女が現れて、橋の建設の為の寄付を乞う。山伏が橋の由来を訊ねると、二人は『万葉集』の中の「上野(東路)の佐野の船橋とりはなし……」の歌を引き、昔この所に住んでいた男が川を隔てて住む女と恋仲になり、この船橋を恋の通い路として毎夜通っていたが、これに反対した二親が橋板を外してしまう。ところが二人はこれを知らずに踏み外してしまい、水中に落ちて死んでしまったことを語る。そして実は自分たちこそがその二人であると明かし、回向を頼んで消え失せる。         〈中入〉
 そこで山伏が加持して成仏を祈っていると、二人の亡霊が現れ、男は地獄の苦患を見せる。その様子を見た山伏は気の毒に思い、執心を振り捨てて昔をなお懺悔するようにすすめる。そして山伏の法力によって救われたと言って喜び消え去って行く。
 男女の恋愛をモチーフにした曲では《女郎花》や《錦木》と同様、和歌や歌物語から題材をとったものであるが、親の反対に遭う恋愛であっただけに地獄に陥る苦しみの度合いは本曲が最も強いように思われる。

出演者紹介
CAST

吉浪壽晃
Yoshinami Toshiaki
日本能楽会会員

茂山忠三郎
Shigeyama Tyuzaburo
日本能楽会会員

浦田 保浩
Urata Yasuhiro
日本能楽会会員

田茂井廣道
Tamoi Hiromichi
日本能楽会会員