井上定期能 6月公演
公演日時:2023/06/17(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
主催:井上定期会
演目:
(解説) 井上 裕久
(能) 花 筐 橋本 光史
(狂言)茫々頭 善竹 隆司
(能) 雲林院 𠮷田 潔司
(解説) 井上 裕久
(能) 花 筐 橋本 光史
(狂言)茫々頭 善竹 隆司
(能) 雲林院 𠮷田 潔司
演目解説
その後、皇子は継體(けいてい)天皇となり、大和国(奈良県)玉穂(たまほ)に都を移し、ある日、紅葉狩の御幸に赴く。一方、恋慕のあまり心が乱れた照日ノ前は侍女を伴い旅に出、都へと着き、帝の行列に行き逢う。しかし朝臣に見苦しい狂女とばかり払い退けられ、花筐を打ち落とされてしまう。照日ノ前は、それは帝の花筐であると朝臣を咎め、皇子がまだ味真野にあった時に、毎朝天照大神に花を捧げ世の安寧を祈った謂われを語り、恋のかなわぬ悲しみを嘆く。続いて帝の仰せにより、御車の前で李夫人(り ふじん)の故事を語り舞い、思慕の情を訴える。やがて帝が花筐に気付き、その狂女が照日ノ前であることがわかり、元通り側近く召し使うとの宣旨に、喜んで皇居へと向う。
恋慕の狂乱を主題とした曲であるが、その相手が時の帝であること、遠国の者とはいえ、自身も侍女を伴っている程であることなど、狂女物の中でも最も品位が感じられる。 「李夫人の曲舞(くせまい)」は世阿弥の父、観阿弥作といわれ、漢の武帝が愛した李夫人の死を嘆き、甘泉殿(かんせんでん)の壁にその姿を描かせて朝夕それを眺め、また反魂香(はんごんこう)を焚いてその面影を呼び戻したという哀話を曲舞にしたもので、照日ノ前は自らの気持ちと重ねてこれを舞う。
公光は、北山辺の者に『伊勢物語』のこと、また業平について尋ねる。やがて公光が花の木陰で仮寝をすると、その夢に業平が現れて『伊勢物語』の中にある業平と二条の后の恋を物語り、さらに昔を偲んで夜もすがら舞を舞う。やがてその夢も覚め、業平の姿も消えてゆく。
後シテ(業平)は、初冠(ういかむり)をつけ指貫(さしぬき)・単衣狩衣(ひとえかりぎぬ)姿で、業平が在五中将(ざいごちゅうじょう)といわれたその中将の名に由来する面・中将をかけ、男装ながら序之舞を舞う。