京都観世会8月例会
Monthly Performances (August)

公演日時:2023/08/27(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 通小町        古橋 正邦
(狂言)梟山伏        野村又三郎
(能) 江 口 甲之掛    片山九郎右衛門
(能) 鉄 輪        深野 貴彦
入場料:
一般前売指定席券          ¥8,000
一般前売自由席券          ¥6,000
一般当日券  (自由席)      ¥6,500
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

      WEB予約・購入はこちら

・・・・・・・・・例会会員入場券の年間会費・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
WEBにて事前指定が可能です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

演目解説

通小町 かよいこまち
 八瀬の山里で夏籠りをしている僧のもとへ、毎日木の実を届ける女があった。僧の問いに答え、木の実の数々を語った後、実は私は市原野に住む姥、跡を弔ってほしいと言って消え失せた。これは小野小町の幽霊であろうと確信した僧は、市原野へ赴き、その跡を弔う。小町の幽霊は再び現れ、僧の弔いを謝し、戒を授け給えと望む。と、その後より、戒を授けることはならぬ、はや帰れと言う者がある。小町に心を寄せ、九十九夜までも小町のもとへ通い、終に命絶えた深草の少将の幽霊である。僧の所望に応え、百夜通いを再現してみせる少将。共に恋の妄執深き身ではありながら、少将が飲酒戒を保った縁で、二人は成仏する。
 少将の百夜通いを「まなぶ」ことを軸にしており、大和申楽得意の「鬼」と「ものまね」の要素が色濃く残っている。また女をツレに伴い、恋の妄執を見せる「船橋」「女郎花」「錦木」などへの影響も興味深い。「鬼」から「霊(りょう)」、「修羅」、「遊楽」などへと様々に発展してゆく原点のような曲である。

江口 えぐち  甲之掛    かんのかかり
 諸国一見の僧が都から天王寺に参るため、淀川を下り江口の里に着く。里人より江口の君の旧蹟を教えられた僧は、昔、西行法師が一夜の宿を借りようとしたが、江口の君が貸さなかったので、―世の中を厭ふまでこそ難からめ 仮の宿りを惜しむ君かな(出家前なら遊女の宿を貸すのは難しくとも、今は出家の身、宿を貸してもよかろうに)―と詠んだ歌を口ずさむ。すると女が現れ、―世を厭ふ人とし聞けば仮の宿に 心とむなと思ふばかりぞ(出家ならばこそ、仮の宿に執着なさいますなと思ってのことです)―という江口の君の返歌を伝える。そして、あなたも俗な世語に心を留めなさるなと言い、実は自分は江口の君の幽霊と明かして消える。        <中入>
 以前の里人から、更に詳しく江口の君のことを聞いた僧が跡を弔うと、月の川面に舟が浮かび、遊女の舟遊びが再現される。江口の君は他の遊女たちと棹の歌を歌い、昔を思い、世を渡る一節(人が生きることの本質)を語る。そして舞を舞い、すべての迷妄は執着ゆえであり、仮の宿(この世)に心を留むなと諭し、終には普賢菩薩となって、光と共に西へ去る。

鉄 輪 かなわ
 夫に見捨てられた女が恨みを晴らすため貴船明神に参ると、社人が神のお告げを伝える。赤い着物を着て顔に丹(に)を塗り、鉄輪を頭に戴き三つの足に火を灯せば、生きながら鬼となって恨みを晴らせる、と言うのである。するとたちまち女の髪は逆立って凄まじい姿になり、雨降り雷鳴とどろく中、わが家に駆け戻る。   〈中入〉
 その夫は近頃夢見が悪く、陰陽師の安倍晴明に祈祷を頼むと、晴明は「本妻を離別し新しい妻を迎えたためである。今夜にもあなたの命が危ない」と判断し、先妻の祈りが今夜満願になるので呪いを人形(ひとかた)に転ずると言う。晴明が祈祷を始めると雷雨の中先妻の生霊が現れ、男の人形に向かって恨みを述べ、後妻の人形の髪を手に絡めて打ち叩き、男の命を取らんばかりに責め寄る。しかし守護の神々に追われて力も弱り、呪いの言葉を残して消え失せる。

出演者紹介
CAST

古橋正邦
Furuhashi Masakuni
日本能楽会会員

野村又三郎
Nomura Matasaburo
日本能楽会会員

片山九郎右衛門
Katayama Kurouemon
日本能楽会会員

深野貴彦
Fukano Takahiko
日本能楽会会員