井上定期能10月公演

公演日時:2023/10/14(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)        井上 裕久
(能) 遊行柳     橋本 雅夫
      青柳之舞
(狂言)清 水     茂山あきら
(能) 葵 上     𠮷田 篤史
      梓之出
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500

演目解説

遊行柳 ゆぎょうやなぎ  青柳之舞   あおやぎのまい
 諸国遊行の聖が、上野の国から奥州へと志し、白川の関を越えて新道を行こうとすると、老人が一行を呼び止め道案内をする。老人は昔の街道を教え、名木の朽木の柳へと聖を誘う。聖の問いに老人は、昔、西行法師が「道の辺に 清水流るる柳蔭 しばしとてこそ立ちとまりつれ」という歌を詠んだことをもの語り、聖から十念を授かると、朽木の柳の古塚に消え失せる。聖は所の者に朽木の柳のいわれを尋ね、夜もすがら回向をする。やがて念仏を唱える聖の夢に老柳の精が現れ、非情の草木まで成仏することの出来る念仏の功力を賛え、柳の故事を述べ、報謝の舞を静かに舞う。夜が明けると、もとの柳が残るだけであった。
 「青柳之舞」(特殊演出)の節は、序之舞の格段を、春・夏・秋になぞらえ、そのうちの初段または二段で上げてしまうことを春だけで終わるとし、青柳の春にたとえる。

葵上 あおいのうえ  梓之出  あずさので
 朱雀院の廷臣は、左大臣の息女葵上についた物の怪の霊を呼び寄せるために、照日の巫女(てるひのみこ)に梓弓(あずさゆみ)にかけることを命ずる。やがて六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊が現われ、葵上の病床の前で、人の世のはかなさ、我が身のつらさなど恨み言を述べ、さらに葵上への激しい怒りを示し立ち去る。葵上の病状はさらに悪化し、廷臣は従者に横川小聖(よかわのこひじり)を呼びに行かせる。小聖が葵上の病床で加持祈祷を行なうと、鬼女の姿となった六条御息所の生霊が現われるが、小聖に祈り責められ成仏する。
 葵上は役として登場せず、後見によって正面先に置かれる出小袖(だしこそで)が、病床の葵上を表わす。
 小書「梓之出」は、六条御息所が照日の巫女の梓弓の謡の内に引かれて現われる演出となる。