井上定期能3月公演

公演日時:2024/03/30(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)        井上 裕久
(能) 吉野静     𠮷田 潔司
(狂言)文 荷     茂山  茂
(能) 善 界     橋本 光史
      黒頭
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

吉野静 よしのしずか
 春爛漫の吉野山。兄・頼朝に追われた源義経は、この吉野山に逃れていたが、吉野の衆徒たちが心変わりしたため、桜舞い散る中、夜陰にまぎれこの山を後にした。
 義経から追手を防ぐよう命令を受けた佐藤忠信は、都からの参詣者に姿を変え、義経を追うべきか否かの詮議をする衆徒たちの集会に、誤った体で紛れ込む。そこで忠信は、頼朝と義経は和解しそうだという偽の情報を流し、その上義経の家来たちは強者揃いであると言って衆徒の戦意を喪失させようとする。つづいて、あらかじめ忠信と謀っていた静御前が現れ、頼朝と義経が和解すると、西日本は義経の支配するところとなり、義経を敵にすることの愚かさを述べ、尚も時間をかせぐために衆徒たちに法楽の舞を舞ってみせる。衆徒たちは舞の面白さに興じ、また義経の武勇に怖れてついに追跡をあきらめ、静は安堵して去ってゆく。

善界 ぜがい  黒頭  くろがしら
 中国の天狗の首領である善界坊は、自国において高慢の輩を残らず天狗道に誘い入れ、次は日本の仏教を妨害しようと日本へ渡って来る。まず愛宕山の太郎坊を訪ね、その勧めで比叡山を窺うことにする。天狗たちは不動明王の威力を恐れるが、やがて決意して比叡山に向かう。比叡山の僧が勅命によって車で宮中に向かう行く手に、正体をあらわした善界坊が天狗本来の姿を見せ、雲中から僧を威嚇する。しかし僧の法力には破れ、不動明王や天部諸尊をはじめ、仏法を守る日本の神々の吹き起こした神風に追われ、力を失い退散する。
 他の天狗物と異なり、中国から渡来した天狗という設定が特色といえる。
 「黒頭」の小書(特殊演出)では、後場のシテが、常の赤頭を黒頭に変え、それに伴い装束・所作などの一部が変わり、謡にも緩急がつくなどして強く激しい演出となる。