京都観世会6月例会
Regular Performances (June)

公演日時:2025/06/22(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
  (能) 白楽天        橋本擴三郎
  (狂言)太刀奪        茂山忠三郎
  (能) 隅田川        観世銕之丞
  (能) 舎 利        河村 和貴
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,500
一般前売自由席券          ¥6,500
一般当日券  (自由席)      ¥7,000
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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普通会員様と6回会員様はWEBにて事前指定が可能です。(別途料金必要)
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演目解説

白楽天 はくらくてん
 唐の白楽天は、日本の知力を計れという勅命を受け遥々日本へ渡来する。筑紫の海上で小舟に乗って釣りをする老人に出会い、「いかにあれなるは日本の者か」と声をかける。すると老人は「御身は唐の白楽天にてましますな」と答え、渡来の理由までも言い当て白楽天を驚かす。白楽天は目前の景色を「青苔衣をおびて巖の肩に懸り、白雲帯に似て山の腰をめぐる」と詩に作って聞かせると、老人は面白いと言い、日本の歌ならば「苔衣著たる巖はさもなくて衣著ぬ山の帯をするかな」だと即座に和歌に訳した。白楽天はますます驚く。すると老人、唐のことは知らないが日本では鶯、蛙までも歌を詠み、この翁も当然のことながら歌を詠むのだと誇らしげに語る。やがて「和国のもてあそび、和歌を詠じて舞歌の曲、その色々を現さん」と波の音の鼓、龍の吟ずる声の笛で老人は波の上に立ち、海上に浮かび海青楽を舞うと言う。〈中入〉
 老人は真の姿の住吉明神となり、気高い老体の神姿を現し荘厳な舞を見せる。そして「立ち帰りたまへ」と神風を起こし、白楽天が乗っている船を唐土に吹き戻す。

隅田川 すみだがわ
 旅人が武蔵国・隅田川の渡りに着き、渡守に舟を乞う。その後ろから、これも都よりわが子の行方を尋ねて下ってきた狂女が着く。狂女は「名にし負はばいざ言問はん都鳥我が思ふ人はありやなしや」という『伊勢物語』の歌をひいて、都鳥にわが子の行方を問う。渡守はこの心優しい狂女を舟に乗せ、船中で、去年ここであった話をする。去年の今日、人買いに連れられてきた子が、疲労の末この河岸で息絶えた。その弔いの大念仏に人々が多く集っているという。実は船中の狂女こそ、その母であった。渡守は母を墓所へ案内し、泣き伏す母に弔いを勧める。母の弔いにひかれるように、子の幽霊が現れる。母は子を抱き取ろうと走り寄るが、幻のように消え去る。あとには塚の上の春草に、川風が渡るばかりであった。
 数多くの物狂能は、男物狂も含めて、すべて探し求める者に再会して終わるが、この一曲のみ悲劇的な結末を迎える。

舎 利 しゃり
 出雲の国、美保の関の僧が洛陽の仏閣を見ようと都へ上る。東山泉涌寺に行き、聞き及んでいる十六羅漢や仏舎利を見るため、寺の能力に案内を頼み仏舎利を拝んでいると、里人がどこからともなく現れ、一緒に仏舎利を拝んでいる。寺の辺りに住むその男は仏法東漸のこと、霊鷲山のことなどを語る。不思議なことに、にわかに空がかき曇り、稲妻が光る。男の顔色は変わり鬼の形相になり、実は足疾鬼の執心であり今もこの舎利に望みがあると言い、舎利殿に飛び上り、舎利を奪い、天井を蹴破って虚空に飛び去る。                           〈中入〉
 物音に驚いた能力は舎利殿に行き、舎利が奪われたことに気づく。僧は能力から、昔、釈迦入滅の時に足疾鬼が現れ牙舎利を奪って飛び去ったが、韋駄天が取り返した話を聞く。僧と能力は韋駄天に祈る。すると舎利を奪い取った足疾鬼が悠然と現れるが、続いて仏法の守護者である韋駄天が現れ、天界に追い上げ下界に下し舎利を奪い返すと、足疾鬼は力も尽き消え失せる。

出演者紹介
CAST

橋本擴三郎
Hashimoto Kozaburo
日本能楽会会員

茂山忠三郎
Shigeyama Tyuzaburo
日本能楽会会員

観世銕之丞
Kanze Tetsunojo
日本能楽会会員

河村 和貴
Kawamura Kazutaka
日本能楽会会員